特別資料No.516 米国における化学物質規制の初歩(第9版)
2021年12月13日発行(会員価格12,000:非会員価格30,000)
資料内容
米国で一般工業化学品を取り扱う場合に基本となる法規は、1976年に制定された連邦法である『有害物質規制法(TSCA)』とその下位規則として制定された連邦規則である。TSCAは化学物質及び混合物を規制するための包括的な法律であり、2016年6月に約40年ぶりに改正された。本資料では、TSCAの概要を、所管する環境保護庁(EPA)が公表した資料等に基づき紹介する。従来からの新規化学物質の製造・輸入のための手続き及び措置の中心となる『製造前届出(PMN)規則』、並びにTSCA改正の重要な点である既存化学物質の管理に関する『リスク評価のための優先度付け手続』『リスク評価手続』を解説する。
また、米国では危険有害性化学品を取り扱う労働者を保護するために、労働安全衛生法(OSHAct)に基づいて『ハザードコミュニケーションスタンダード(HCS)』が1983年に制定され、2012年に公布された最終規則で国連GHS改訂3版に適合された。2015年6月1日以降、化学品の製造業者、輸入業者、物流業者及び事業者は、改正されたHCSの全ての条項を遵守して、SDSやラベルの作成によるハザード情報の伝達や、従業員訓練等を行う義務がある。米国への輸出業者は、輸入業者等が遵法対応できるように情報提供が必要である。また、2021年2月にGHS改訂7版準拠を目的として修正提案が公表されているので、この点での解説も加えた。
更に米国では、各州が独自の権限で化学物質の管理を義務付ける法律を制定している場合がある。本資料では、カリフォルニア州の『1986年安全飲料水及び有害物質施行法(Proposition65)』に代表される固有の化学物質リストを有する州法についても概要を述べる。
事業活動におけるモラルの向上、法令遵守及び情報開示等、企業に対する社会からの要求は年々高まっている。罰則規定の厳しい米国の法令に違反した場合、高額な罰金が科されるばかりでなく、企業イメージを大きく毀損し、事業活動に与えるダメージは計り知れない。それゆえ、化学品に係る法規を正しく理解することは、事業リスクの回避、更には企業の存続、発展のためにも不可欠であると言えよう。本資料が米国における化学品関連業務を担当される方をはじめ、化学品に関する法規制に関心を持つ方々に役立てば幸いである。
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