特別資料No.482 米国EPA TSCA 化学品データ報告(CDR)規則(第2版)
2020年5月発行
資料内容
米国では、人の健康又は環境を損なう不当なリスクをもたらす化学物質及び混合物を規制すること等を目的として、『有害物質規制法(TSCA: Toxic Substances Control Act)』が1976年10月11日に制定され、1977年1月1日に公布された。以後、大幅な改正は行われていなかったが、2016年6月12日に「Frank R. Lautenberg Chemical Safety for the 21st Century Act」による改正が発効した。TSCAは米国における化学物質管理の基本法として、化学物質を取り扱う事業者にとって最も関心の高い法律のひとつである。
TSCAの第8条「情報の報告及び保存」において、広範な情報収集の権限が環境保護庁(EPA)長官に与えられており、これに基づき化学物質へのばく露によって呈せられるリスクの確認、評価、管理及びその低減のために、EPA及びその他の関係者に必要となる情報が収集されている。更に、この第8条(a)項に基づく連邦規則として、「報告及び記録保持規則」、「TSCA化学品インベントリー規則」及び「化学品情報規則」が公布され、施行されてきた。
2011年8月16日、EPAは、この「TSCA化学品インベントリー規則」及びそのSubpartで規定していた「インベントリー更新報告(IUR: Inventory Update Reporting)規則」を発展的に改正・削除し、「TSCA化学物質インベントリー編さん規則」及び「TSCA化学品データ報告(CDR: Chemical Data Reporting)規則」を公布した。
CDR規則は、TSCAインベントリーに収載されている化学物質の製造及び輸入状況の把握並びにそれらの情報の更新に加え、EPAがその製造、輸入、加工及び使用に起因する潜在的なばく露リスクを評価するために必要な最新情報を取得するために、4年ごとに当事者企業からの当該化学物質に関するデータの報告を要求するものである。CDRの初回提出期間は2012年に設定され、その後は4年ごとの提出が要求されている。
2016年に改正されたTSCAに準拠するため、例えば2019年12月に最終的に指定されたEPAが開始するリスク評価の高優先度物質に対応した措置や、秘密保持請求要件の明確化等を修正するために、「TSCA第8条(a)に基づくTSCA化学品データ報告改正」を2020年4月9日公布、2020年5月11日に発効した。本資料は、連邦規則集(CFR: Code of Federal Regulations)のTitle 40にPart 711として収載された改正も盛り込まれた「TSCA 化学品データ報告(CDR)規則」の原文をできる限り忠実に翻訳したものであるが、疑問がある場合には、添付した原文で確認していただきたい。
本資料が、米国で化学物質及び混合物の製造、輸入及び加工等に携わる方々の事業活動の一助となれば幸いである。
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